AKI ONOZUKA-EVANS
Productivity Coach for Professionals with ADHD

ADHDと実行機能について
ADHDと実行機能は独立したものではなく、密接に関連する要素です。ADHDに伴う多くの課題は、実行機能の発達と深く結びついており、神経学的に定型発達の人と比べて、特定のスキルの成長スピードが異なることが影響しています。
加えて、ADHDの特性は単なる実行機能の問題を超えた影響を持つこともあります。 そのため、感情のコントロールの難しさ、自責の念、思考の反芻、圧倒感、思考の停止といった要素が、仕事のパフォーマンスに直接影響を与えることがあります。
しかし、これらは**「個人の意志の問題」ではなく、脳の特性**によるものです。適切なテクニックを用いることで、実行機能スキルを向上させ、思考や行動のパターンを調整し、ADHDの特性とより効果的に向き合うことが可能です。
実行機能(EF)とは?
実行機能(EF)とは、自己管理のためのスキルセットで、以下のような能力を含みます。
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ワーキングメモリ(作業記憶)
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柔軟な思考
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目標設定
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計画力と整理整頓
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優先順位付け
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自己制御/衝動抑制
これらの機能は相互に関連し、協調しながら働いています。私たちの脳は、これらのスキルを日々の活動の中で統合的に活用しています。
ADHDと実行機能の関係
ADHDは神経学的な特性を持つ状態であり、実行機能に依存する自己管理システムの発達に遅れが生じることが特徴です。ADHDを持つ多くの人は、複数の実行機能スキルに課題を抱えており、日常生活のさまざまな場面で困難を感じることが少なくありません。
強みを活かしたアプローチ
ADHDは一般的に、実行機能の弱さとして定義されることが多いですが、一人ひとりには必ず固有の強みがあり、それを活かすことで実行機能の課題を克服するための効果的な戦略を生み出すことが可能です。
実行機能とは
実行機能(エグゼクティブ・ファンクション)とは、作業記憶、柔軟な思考、自己制御など、目標達成へのプロセスに必要な一連の自己管理スキルです。
目標を決め、計画を立て、作業に優先順位を付け、気を散らすものを排除しながら、最後まで感情と衝動的な行動を抑制する、すべての過程を管理する脳のコマンドセンターとも言えます。
実行機能は、すべての人が日々使っている能力です。このうちのいくつかのスキルが劣っていると、作業過程に沿って順序よく集中してやり遂げるために、客観的に自分を見つめ、プロセスを目標に向かって管理するのが困難になります。よって、作業開始から完了までのプロセスをたどっていくのに、多大な労力が必要になってしまいます。
実行機能スキルの種類
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反応抑制:行動を起こす前に、その行動が結果にどう影響するかを瞬時に考え、行動を抑制する能力。通常は何かを言いたい、やりたいという衝動を抑えることによって、結果をだすまでやり続けることができるが、この能力が弱いと、その行動の妨害性が理解できず、自分のやりたい事を優先してしまい、なかなか結果が出せない、プロジェクトが終わらないなどということが起きてしまう。
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ワーキングメモリ: 複雑なタスクを実行する際に、頭の中に様々な情報を短時間だけ保持しながらタスクを遂行する能力。今までの経験等を示唆しながら、目の前の状況に適応したり、将来の結果につなげながらタスクを遂行する能力も組み込まれている。
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感情コントロール: 目標を達成するプロセスにおいて、感情に左右されずにタスクを遂行したり、確実に指示をだしたりすることのできる能力。直前で計画変更があったり、予測していなかった反応があったり、不安要素などがあると、感情が高まりコントロールできず、タスクに戻れなくなったりすることもある。
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注意力の持続: 注意力散漫になりそうな環境にいたり、疲れている、面白くないタスクにもかかわらず、タスクの重要性と状況の理解をベースに、タスクに関わり続けることのできる能力。自分が興味のあることは長時間やり続けることはできるが、つまらないことや、興味のないことになると注意力が続かない場合が多い。
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タスクに着手する: やらねばならないことを先延ばしにすることなく、効率的、またタイムリーにプロジェクトに着手することのできる能力。締め切り直前になるまで手をつけない、最後の数時間で終わらせるなど、タスクを始めることができないまま最後まで待ってしまうことが多い。
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計画作成・優先順位付け: 目標を達成、タスクを完了するためにロードマップを作成する能力。大きなプロジェクトを細分化したり、細かいタスクを明確にする、必要な時間を予測するということもこの能力に含まれる。また、焦点を当てるべき重要なものと、そうでないものを明確にし、目の前にあるものに飛び込まず、最優先されるべきタスクを決定しそれを遂行することも含む。
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整理整頓: 物だけでなく、情報や資料を管理し、必要な情報をすぐに取り出せるようなシステムを作ったり、その管理状態を維持する能力。会議で話した内容を整理して書きとめたり、これからのタスクを順序よく理解し整理し他人に伝達することもこの能力の一つ。また、頭の中に浮かんできた様々な事柄などを、忘れる前にちゃんと書きとめておき、そのノートを覚えておくなど、小さな事柄などの管理も含む。
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時間管理: タスクを終わらせるのに、自分にどれだけの時間があるか、それをどのように割り当て、期限内にどのようにタスクを遂行させればいいかなど、あらゆる面においての時間を的確に予測しそれに沿って行動する能力。会議の開始時間やアポイントメントなどに遅れないように、前もって用意をしたり行動に移ることも含まれる。時間に無頓着にならずに、他人の時間への配慮という感覚もこの能力のうちの一つ。
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目標への興味と行動の持続性: 目標を持ち、その目標を達成するまでやり遂げる能力。その間に起こりえる他のタスクや、興味ある事柄などによって、プロジェクトを先延ばししたり、気を散らさずにコンスタントに取り組むことのできるスキル。プロジェクトが複雑になると諦めてしまったり、時間が立つと興味がなくなってしまうのはこの能力が低い場合によく起こる。
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柔軟性: 障害や問題、新しい情報等に直面したとき、冷静に計画を修正し遂行する能力。あらゆる状況の変化への適応力に関係する。予測外な事柄などが起きると、計画調整ができなかったり、感情的に反応してしまったりする場合も。
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ストレスへの耐性: ストレスが高い状況であっても、持続的に物事を分析し、対処し続ける能力。不透明な事柄、状況の変化、他人からの期待や要求などにも対処しつつ、常に自分のパフォーマンスレベルを維持することができる忍耐性をいう。
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メタ認知: 状況から一歩下がって自分自身を客観的に見る能力。これは与えられた問題をどのように解決するか、複数の視点から分析する能力でもある。またこれには自己モニタリングや、適度な自己評価をするスキルも含まれる。
ADHDの人が持っているすごい長所
ADHDは「障害」ではなく「個性」です。「特性」は「長所」に変えることもできます。決して「性格的な欠陥」ではないのです。その証拠に、ADHDの人には、ADHDでない人には見られないレベルの、とてもすばらしい資質があります。これをADHDのスーパーパワーと呼んでいます。このようなスーパーパワーを使ってすばらしい成功を成し遂げたCEOや俳優や歌手などは数え切れないほどです。あなたもあなた独自のスーパーパワーを見つけませんか?
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刺激的
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とっても勇敢
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いつも何かに夢中
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いつも熱心に取り組む
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へこたれない
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影響力がある
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色々物知り
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よく発言する
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音楽性に富んでいる
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発明工夫が得意
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自分の意見を持っている
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思いやりがある
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元気いっぱい
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すごい親切
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外交的
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心が広い
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何にでも適応する
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直感がすごい
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印象深い
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とてもフレンドリー
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いつもバカ正直
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おもしろい
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好奇心旺盛
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冒険大好き
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常識にとらわれない考え方ができる
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何事にも熱い
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はっきり言う
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クリエイティブ
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一緒にいてすごく楽しい
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寛大な心
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ユーモアがある
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共感性がある
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能動的
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いつも本音のみ。偽りはナシ。
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インクルーシブ
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カリスマ性
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未来を見据えて考えることができる
コーチングを通して、スーパーパワーを発見しそれをうまく使って、ADHDの困難な特性をうまく回避する方法や、対策を練っていきます。